そのドアを開けたらゾンビがいる

わかっているんだけどねぇ〜☆

覆水盆に返らず…あのキアヌ・リーブスがギャルにひたすらイジメられまくる『ノック・ノック』は今年イチおすすめしたい映画です。

f:id:dubstronica:20160625204202j:plain

 

ノック、ノック(字幕版)

ノック、ノック(字幕版)

 

 


『ノック・ノック』予告

シンプルなのに愛おしく、今年イチ応援したくなる映画『ノック・ノック』の話をします。

『イングロリアス・バスターズ』でその存在を知ったはいいものの、監督作が軒並み見事なホラー(しかも苦手なスゲー痛そうなやつ!)なのでなかなか作品を鑑賞出来なかったイーライ・ロス監督。

彼の新作の主演がキアヌ・リーブスと知り、これはもしかしてキアヌ・リーブスというスター・フィルターがかかってエグすぎる表現を避けているかもしれない、いやもしそれをやってたら逆にその事がもっと話題にしてもいいはず…ということはようやく私にも安心して(?)観れるイーライ・ロス映画なのかもしれない!?という前のめりな期待に見事にこたえるどころか、小難しい方向に行かず一球入魂・直球勝負のフルスイングという9回裏の豪傑な代打バッターのような潔さで、ある種「裏ジョン・ウィック」と言うべき快作が誕生しました!!

f:id:dubstronica:20160625204233j:plain

その内容といえば「色仕掛けにハマっておイタしちゃったキアヌ・リーブスがギャル2人にトコトンお仕置きされる」という予告から読み取れる情報を徹底して貫いた痛快な作品なのですが、なんといってもそこに設置されたすべての要素が愛おしいほど魅力的でスゴい!

いたって平穏で幸せなキアヌを見事にどん底に叩き落すことになる突然の来訪者の2人の女の子が超絶キュートな小悪魔で、その魅力の説得力には、あんな良き夫であり良き父なキアヌがどうして!?とは全く思わなくなるくらい。演じるのはイーライ・ロスの奥様であるロレンザ・イゾ(『グリーン・インフェルノ』に引き続き登場)と、アナ・デ・アルマス

f:id:dubstronica:20160625204422j:plain

アナ・デ・アルマスに関しては今回はじめて知ったのですが、なんなんだこの宝石のような美女は!2人に囲まれデレデレでライフゼロ状態になっているキアヌにターンテーブル前で容赦なく追い打ちをかける様が素晴らしく、あーもうだめだー!これはダメだー!

スクリーンを見つめるみんなの心配を一身に背負うキアヌもこれまた見事で、冒頭のコッテコテな幸せな家庭を見せるシーンでは、ちょっと今まで観たことないような一面で、二人の娘に芸術家の妻、自身は建築家で高級住宅街にある自宅の趣味も良く、さらにはかつてはDJだったという雑誌「ブルータス」から飛び出て来たかのような”出来過ぎた”設定と、その割に照れ屋で純朴というアンビバレンツな主人公を問答無用に演じきる当たり役!

f:id:dubstronica:20140502133308j:plain

それがあれよあれよと崩れ落ちていく様は、100歩譲って同情するなら「不運にも選ばれてしまった…」という天災レベルの運の悪さのみで、どんな言い訳をどの方向からしようと「そもそもあなたが!」と完全に自業自得のループで目も当てられない。

お仕置きタイムがスタートしてからも、監禁から逃れようと歯向かってみるものの逃れられないとわかると、オレは良い夫で良い父親なんだ!と謎アピールで泣き落としたり、そもそも誘ってきたのはそっちだろう!と逆切れを始めたり、まあキアヌのマヌケっぷりが凄まじい。この辺りを手抜きせず徹底してやっているキアヌとイーライ・ロスのコンビは流石としか言いようがなくて、プロデューサーにも名を連ねているキアヌ・リーブスの作品への理解度が嬉しい。この辺がつい「裏ジョン・ウィック」と言いたくなってしまう所以で、こういうシンプルながら徹底しなければ魅力が薄れてしまうような映画でがっつりやりこんでくれるキアヌ・リーブスは最高としか言いようが無い。

f:id:dubstronica:20160625204555j:plain

エンディングの迎え方もうなるほど素晴らしく、オチともいうべき出来事に映画館は沸いたし、拍手で褒め称えたい気持ちを抑えるのが大変だった。サスペンスでもイーライ・ロス監督はスゴい!!!可能であれば上映中にぜひ劇場で鑑賞していただきたい今年イチのダークホースです。